〜偉大なるバリア“角質層”の驚嘆すべきメカニズム〜
「肌」という言葉は、専門家はふつう口にしません。「肌」とは、皮膚をその表面から見たときの言葉だからです。
ただ、私は「肌トラブル解消・美肌の維持」という美容の専門家という立場から、普段はみなさんも一番馴染みやすい「お肌」と呼称しています。
しかし、実際に「お肌」という呼び名だけでは、その機能や状態を正確に説明し理解していただく場合には非常に困難となります。
特に、ニキビ・ニキビ跡・赤ら顔・敏感肌等の肌トラブルを解消したいと願う方々には、どうしてもキチンとした皮膚のメカニズムを理解してもらう必要があり、またこの理解を深めて長野美顔クリニックノウハウ通りのケアーをすることが、「健やかで美しい素肌」への最短ルートとなります。

皮膚は臓器(角質層)(にきび・ニキビ跡・赤ら顔)
「皮膚」はまさに千差万別、それぞれの人種・年齢、今までの人生、生活環境や食習慣を正確に映し出す鏡のように、さまざまな環境の影響を受けて変化しつづける「臓器」です。
「臓器」あるいは「器官」というと、みなさんは心臓や肝臓・腎臓などの内臓を思い浮かべるでしょう。
しかし、皮膚もひとつの臓器なのです。わたし達の体を包み、外界にさ らされた臓器である皮膚の働きは、体を環境から守ることにあります。しかも、人体で最大の臓器です。大人だとおよそ1.8平方メートルの広 さをもち、体全体を包んで、内部の生命活動が外部の環境などの影響によって乱されることなく、いつも一定条件で行なわれてゆく様に保つ働きをします。
角質層はバリア機能の要(にきび・ニキビ跡・赤ら顔)
かつては、皮膚は単純に人体を包むだけの「革袋」のようなものだと認識されてきました。
しかし、皮膚の機能を細かく調べてゆくと極めて多様であり、それに見合うような複雑な構造をしています。
皮膚は外から内へ、三つの大きく違う組織からできています。
上皮組織の表皮、結合組織の真皮、脂肪組織である皮下組織です。
また、上皮組織である表皮は、一番外側から、角質層・顆粒層・有棘層 ・基底層にわけられます。
仮に人体を包むだけの「革袋」としてだけ皮膚を見るならば、コラーゲン繊維の組織である真皮こそが革製品の元となるべき部分です。
しかし、外部環境から身を守るという目的から見ると、驚くべき事に、それは皮膚の一番表面にある、20ミクロン(1ミクロンは1000分の1ミリ) の薄さしかない角質層と呼ばれる膜の働きに集約する事ができます。
この角質層を構成する成分だけでも複雑で、それらの遺伝子のたった一つに異常があっても、社会生活をする上に大きな障害となるような病変がおこります。
話は変わりますが、ヘリウムや水素などの気体でゴム風船をでふくらませると、大気との比重差により、どんどん上昇してゆきます。屋内でこのゴム風船を放せば、天井にぶつかって止まり、数日もすれば風船はしぼんで床に落ちてしまうでしょう。
これはゴム風船の中に充填されたガスの小さな分子が、ゴム膜を通していつの間にか外部に抜けてゆくからです。
ところが、ゴム風船の中にガスのかわりに水を入れて置いておくと、気体よりも大きい水の分子は、なかなか蒸発せず、何日でもそのプヨプヨした形態を保って横たわっています。
私たち人間も、例えれば水をいっぱいに入れたゴム風船のようなものといえないこともありません。それも長さ1.6m幅50cm以上もある袋です。  
人間の体の約70%は、水で構成 されています。  
生命の誕生にはまだいくつもの謎が残されていますが、“最初の生命” は海で誕生したといわれています。それが進化し、水中で生活していたものが陸に上がって生活するようになると、それまでは問題にならなかった新たな危険、つまり、『乾燥』と戦わなくてはならなくなりました。
生物は体内の組織に70%以上の水分がなくては生きて行けず、乾燥した陸上の生活は、体内の水分の蒸発を防がない限り成り立ちません。
かくて角質層の存在目的は、微生物や有害物質の侵入を防ぐ、というよりも、体内から水分を失わないようにすることになったのです。
このような機能的に優れた防御膜である為、逆に外部から害を及ぼすものの侵入も防げるのです。
それこそが角質層の働きです。
わたしたちの体の細胞や組織が生きて活動して行く為には、水=水分を保っていなければなりません。ひどい火傷で皮膚がただれた人を助ける為に、医者が先ずはじめにする 事は、点滴で水分を補う事です。
水の蒸発を防ぐ角質層がない皮膚では、体液がドンドン失われてゆくためです。切り取った薄い皮膚片に、あるタンパク分解酵素を一晩作用させると、角質層だけは消化されずに残る為、膜としてはがすことができます。
それは向こう側が透けて見えるような、本当に薄い膜です。厚さは、手の平や足の裏を除き、せいぜい20ミクロン、薄いポリエチレンのラップを想像すればよいでしょう。 このような薄い角質層のシートで、水をいっぱいに入れたビンの口を塞いでみると、何日たっても水はぜんぜん減りません。
つまり角質層は、ゴム袋と同じように、水のような小さな分子でも通しにくい生体が作り上げたバリア膜、防御膜なのです。角質層の上にある細菌は勿論、ウイルスのような小さな微生物をべったりと塗りつけたとしても、内部には入ってゆけません。 このように、害を及ぼすものは通しにくい性質の膜で体全体を包んで保護 し、さらにその内側を、繊維や脂肪細胞が裏打ちしているのが基本的な皮膚の姿なのです。
逆に言うと、かゆいからとひっかいて、表面に白い筋をつけると、つまり角質層を傷つけると、そこからは、アトピー性皮膚炎を悪くするタンパクの分子でも、時には微生物でも侵入する事ができるようになります。
転んで擦り傷を作っただけでも、バリア機能はすぐに壊されてしまいます。
表皮が角質層を作る(にきび・敏感肌・赤ら顔)
お風呂にわたしたちが入る大きな理由は、身体の汚れと垢を洗い落とすことにあります。
この「垢(あか)」とは機能のおとろえた角質細胞のことで、正常な皮膚の場合、それはごくわずかずつ自然にはげ落ちます。意識的に排除ようとしなくても、シャワーを浴びたり入浴するだけで流されていきます。
角質細胞は、物を通さないバリア膜の構成単位となるため、生命活動をするための小器官を全て失っています。 無構造に見える細胞であるという点では、組織に必要な酸素を運搬する血液の細胞成分の主体を成す赤血球とよく似ています。
角質層に優れた機能を保ちつづけるため、それを日々新しく作り変えている表皮の代謝活動は、下の繊維組織である真皮のそれより遙かに活発です。
ケラチノサイトは、真皮と接する表皮の一番下の層である基底層で、分裂を繰り返し、新しい表皮細胞をつくりつづけます。
基底細胞が分裂すると、一方は基底層を去って上へうつり、角質層の細胞へと変化する過程、すなわち「角化」をしはじめます。もう一方は基底層に残り、そこでまた分裂し、あらたなケラチノサイトをつくり、上の層に補給します。
基底細胞はこれを一生の間繰り返します。 基底細胞の中でも、表皮突起の先端近くに存在する細胞の一部には、なにかあったときに表皮細胞の供給源になる、幹細胞とよばれる細胞が存在しています。
基底細胞が分裂してから、休みの期間をおいて分裂を繰り返す細胞周期 (セル・サイクル)の時間はだいたい2週間と計算されています。
角質層自体は、緊密な薄い膜状のもので、前記の通り最小の微生物であるウイルスは勿論、実際には分子量500ダルトン
*注1以上の分子の通過すら許さない防御膜です。
その為、生きた組織に直接に触れたなら、それを傷害するような有害物質も、そう簡単には侵入できません。
このように優れた機能を保ち続けるために、表皮は日々新しい角質細胞 (コルネオサイト)をつくりかえています。角質細胞は、ポテトチップスのように薄く平たく広がり、屋根瓦のように層状に積み重なっていますから、電子顕微鏡で拡大してみると、魚や蛇の鱗のように見えます。
しかし普段の生活で電子顕微鏡で角質細胞を見ることはありません。そこで我々が実際に角質層を膜として見る事ができるのは、強い日焼けをして数日した時などです。
皆さんもご経験があると思いますが、皮膚の表面が茹でたジャガイモの皮のようにぺらーっとむくことができます。 これは、強い紫外線や炎症などの刺激を受けた状態では、細胞周期が短くなり、表皮細胞が一時的に欠陥のある角質層をつくり、その部分が外力に対して弱くなっているためです。

*注1
ダルトン(Da)は、分子や原子の質量の単位のことですが、12Cの1原子の質量の12分の1のことで、1ダルトンは、1.661×10−24gです
皮膚呼吸・皮膚吸収の嘘(にきび・ニキビ・赤ら顔)
前記の通り、バリア膜である角質層を通過できる物質の分子量は500ダルトンという低分子の物質だけです。 病原微生物も、栄養源のタンパクなどの大きな分子も皮膚から体の中に入る事はできません。
小さな分子(高分子)であれば、わずかですが角質層を通って生きた組織にも達します。
逆に、そのわずかな分子で組織が傷害されると、壊れた部分を取り除き、元に修復しようとする働きつまり「炎症」がおこります。 この皮膚の浅い部分の炎症は皮膚炎と呼ばれています。
いろいろな炎症刺激で表皮組織が痛めつけられると、表皮の代謝が増し、細胞周期が短くなり、結果として、即製の機能の劣った角質層がつくられてしまいます。このような角質層だと、普通の生活環境でも水分保持が十分できずに、ひび割れなどを生じます。
当然、バリア機能も落ち、物質の透過がもっと多くなるという悪循環に陥りやすくなります。
かつて昭和の時代、「栄養クリーム」という名前で化粧品が売られた事 が有りましたが、誇大広告として禁止されました。 当たり前のことですが、胃腸のようには皮膚から栄養は吸収されません。皮膚は薄い角質層で一面におおわれているからです。「皮膚呼吸」もそうです。皮膚では肺のようには酸素と炭酸ガスのガス交換をしません。
中には、身体一面に油や塗料などを塗ると、「皮膚呼吸」ができなくなると反論する人もいるでしょう。 これは、暑い時など塗った油や塗料などで身体からの水の蒸散が邪魔され、熱が放散されにくくなり、そんな状態で運動をすると、鬱熱状態を起こし、体温も42度を超え、苦しくなったり、気を失ったりする事をさしています。
角質層の水分保持能力
健康で正常な角質層は、湿った空気からでもすぐに水分を吸いますし、冬の乾燥した大気の中でも水分を保ち、柔らかさを失いません。
これは正常な角質層には「吸水能力」と「水分保持能力」があるためで、少しでも皮膚に水がつくと一瞬にして水を吸い、それを1分以上もかけてゆっくりと放出します。お風呂にゆっくりつかった後のしっとりした皮膚も、モイスチャーチェッカー(肌専用の水分計)で測ると、せいぜい15分〜30分の命であり、それ以降は、入浴前の状態に戻ってしまうことが確認できます。
子供や主婦、お年寄りでは、肌の荒れや手足のヒビやアカギレが、寒くて空気の乾燥した冬に起こります。
なぜ、これらの乾燥肌(ドライスキン)は起こるのでしょうか?
角質層は、平べったくてひろがった角質細胞が何層も積み重なり、その間を、セラミドという高分子の脂が主体の細胞間脂質が埋めるという構造をした膜です。
この構造が物質の通り抜けを妨げ、皮膚のバリアとしての働きをします。
それだけでなく、細胞間脂質はラメラ構造といって水と脂が交互に層状に並んだ構造をしており、どんなに乾燥した環境でも、ある量の水を分子の状態の結合水として脂質の間につなぎ止めます。
さらに、ケラチノサイトからできたばかりの一番下層の角質細胞は無構造なタンパクの固まりですが、それが下層から上層へ移動してゆくに連れ、角質層内にあるタンパク分解酵素の作用で、その一部の角層タンパクが分解され、水に溶けるアミノ酸がたくさんできます。
これは角質細胞内で水と結合し、ふくれあがって柔軟性を与える為に重要な物質です。
無構造に見える角質細胞内のケラチン繊維は、フィラグリンという基質タンパクにがっちりと固められた構造をしています。 鉄筋コンクリートにたとえると、長い鉄筋がケラチン繊維、その周りを固めるコンクリートがフィラグリンです。 コンクリートも長い年月を経過すると、次第にもろく崩れる所ができてくるように、フィラグリンも、角質細胞が下方から上方へと移動するに連れ、タンパク分解酵素により、しだいにアミノ酸にまで分解される運命を辿ります。
この分解されてできたアミノ酸は、角質層が水と結合し、自身には柔らかさを、皮膚の表面には滑らかさを保つ為の重要な働きをします
乾燥してボロボロとむけておちてくるような、重度の肌トラブル状態の角質層では、アミノ酸の含量は極めて少なく、これを風呂場のような湿度の高いところにおいても、普通の角質と違い、さっぱり水を吸いません。
そのほか汗の中の塩類を含め、これらの水溶性の小さな分子を持つ角質 細胞は、湿った環境からは水を吸います。
その為こういう低分子の水溶性物質を天然保湿因子(NMF)と総称します。
お年寄りの乾燥皮膚と若者の皮膚とを顕微鏡で比べてみると、乾燥皮膚では表皮が薄く萎縮しているほか、顆粒細胞の中のケラトヒアリン顆粒が極めて小さい事という観察結果も発表されています。
ケラトヒアリン顆粒はNMFのもととなるタンパクからなるプロフィラグリンを含んでいますから、こういう皮膚で作られた角質層では、水に溶けやすいNMFの主体を成すアミノ酸の量は当然減ります。
老人の乾皮症の角質層を調べた結果、乾燥した病変の程度に見事に比例 したアミノ酸量の低下が見られたという報告もあります。
皮膚がカサカサになり、ひび割れができるサメ肌では、この保湿性物質はもはやわずかしか見つかりません。
一方、皮膚炎があると、表皮の代謝は激しくなり、ゆっくり角化する暇も無く角質層が急造され、またタンパクがアミノ酸に分解する前に皮膚の表 面(表皮)に達して不全角化した角質層をつくりますので、やはりこれら低分子の保湿性物質の量は減っています。
慢性湿疹(アトピー)の場合でも、角質層の細胞間脂質のセラミドとアミノ酸の量が減っているという調査報告があります。この皮膚には、じつは目に見えない軽い皮膚炎が存在している為、代謝が盛んで機能的に劣った角質層がつくられているので、こすれたりすると、すぐに肌荒れを起こしてきます。
皮膚(肌)をひっ掻く・擦る・剥ぐ・溶かす等々の行為は、角質層や皮膚組織を傷つけ、むしろ皮膚炎を起こす要因になったりします
長野美顔クリニックよりメッセージ
このわずかラップ一枚程度の薄さしかない「角質層」の驚嘆すべきバリ ア機能と、その重要度をよーく理解することが、「健やかで美しい素肌」 への第一歩です。長野美顔クリニックでは人間本来の美と健康について、自然物の恩恵を大いに活用し、論理的に日々研究を積み重ねています。
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